道路の渋滞解消へ
市民通報に報奨金、ベトナムが新制度を導入
道路交通の取り締まり強化について、各国がさまざまな対策を模索している。その中で一部の国々が採用しているのが、交通違反の通報者に報奨金を支給する制度だ。このたび、ベトナムがこの制度の導入を発表し、その内容が世界的な注目を集めている。
ベトナムが導入した通報報奨金制度は、同国が初めて導入したわけではないにもかかわらず、異例とも言えるほどの関心を呼んでいる。その特徴と世界が注目する理由を詳しく見ていこう。
報奨金制度で違反取り締まりを強化
罰金額も大幅アップへ
ベトナム政府が正式に発表した新制度によると、交通違反の証拠を提供した個人や団体に対し、違反者が支払う罰金の10%を報奨金として支給する。報奨金の上限は500万ドン(約3万1,000円)に設定された。政府は、追加の罰金収入や車両ナンバープレートのオークション収益の一部を活用し、交通データベースの維持、設備購入、夜間警察の配置など、交通環境の改善に充てる方針を明らかにした。
さらに、ベトナム政府は主要な交通違反に対する罰金を大幅に引き上げることを決定。最も顕著な例が信号無視で、従来の400万~600万ドン(約2万5,000円~3万7,000円)から、1,800万~2,000万ドン(約11万2,000円~12万4,000円)へと引き上げられることになった。
専用アプリで簡単通報
リアルタイムな違反監視を実現
警察による取り締まりを妨害したり、指示に従わなかったりした場合は、従来の30倍もの罰金が科される。これらの措置により、道路上での交通ルール遵守が強化され、渋滞など道路上の混雑が大幅に緩和されることが期待されている。
また、ベトナム政府は円滑な通報を促すため、専用アプリ「VNeTraffic」を導入。交通違反の通報と罰金確認手続きを簡素化した。このアプリは市民による違反行為の通報に使用され、運転者側には罰金を命じられた履歴を通知する機能も備えている。
交通秩序回復へ
ベトナム政府が大胆な措置
これにより、ベトナム政府は交通法規遵守をリアルタイムで監視し、市民の通報参加を促す体制を整えた。このような市民参加型のシステムは、日本や韓国など他のアジア諸国でも導入される可能性が高いと評価されている。
スピード違反、信号無視、逆走などによる混乱が続くベトナムの道路事情。これに対し政府は、監視カメラの設置や市民通報報奨金制度など大胆な措置を通じて状況の改善を図ろうとしている。ベトナムネットグローバルによると、警察は交通違反の取り締まりと渋滞管理に苦慮しているものの、今回の措置によって交通秩序に回復の兆しが見えてくることを期待しているという。