中古車「支払総額表示制度」施行後も
消費者の不満が続出
2023年10月1日から施行された「支払総額表示制度」は、中古車購入時に消費者が実際に支払う必要がある全費用を含めた価格を明示することを義務付けた制度だ。しかし、施行から1年が経過した現在も「表示価格で購入できない」という消費者の不満が後を絶たない。
これまでの中古車販売では、車両本体価格のみを表示し、税金や保険料、登録手数料などの諸費用は別途請求するのが一般的だった。しかし、不明確な費用項目と追加料金の要求により消費者の不満が増加し、新制度が導入された経緯がある。
消費者から寄せられる
主な苦情内容
消費者は中古車の商談過程で、車両整備費や有償保証加入を強要されたり、不明確な「出庫準備費用」を必須費用として説明される事例を経験していると訴える。こうした不透明な追加費用の要求は、消費者の信頼を大きく損なっている。
自動車公正取引協議会(以下、公取協)の調査によると、一部の業者が広告では保証や整備がないと案内しながら、見積書には整備費と保証費を含め、それらを除外できないと主張して消費者に強引に販売した事例が確認された。
支払総額表示制度の
違反時の罰則
「支払総額表示制度」は、消費者が車両購入時に最低限支払う必要がある全費用を明確に表示することを求めている。車両価格には、カーナビやエアロパーツなどの装着オプションだけでなく、定期点検整備や保証に必要な費用も含まれる。
一方、税金、自賠責保険料、登録代行手数料以外の出庫準備費や清掃費などは車両本体価格に含めなければならない。この規制に違反した場合、公取協は当該業者に厳重警告を行い、必要に応じて違約金を科すとともに業者名を公表するなどの処分を行っている。
消費者の不満解消へ向けた
公取協の取り組み
規制施行から約6カ月後の2024年6月にも「表示された支払総額で購入できない」という不満が引き続き寄せられた。公取協は繰り返し苦情が寄せられた大手中古車業者を対象に調査に着手し、規約違反が確認された場合は厳正に対処する方針を示している。
消費者はSNSなどを通じて依然として不満の声を上げている。公取協は追加費用の強要事例を防ぐため規制をさらに強化し、悪質業者の排除に向けて積極的に対応する姿勢を示している。
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